ソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8c9e96ef4eb4a1abbed5f9a46d5ae90eb34ed25


都庁下で私のとなりに暮らしていたホームレスの全角岩手は統合失調症のような言動をしていた。日本の公安警察と米国の連邦警察に24時間監視・盗聴をされ、Mr.Childrenや尾田栄一郎の作品に触れるたびに「彼らは僕の脳からアイデアを抜き取っている」と本気で思い込んでいた。

 全角岩手は無政府主義を掲げているので生活保護は死んでも受けないという。そして、「僕はキリストを神だと思っていないので」との理由から、キリスト教の炊き出しを忌み嫌っていた。だが、全角岩手はかなりの大食漢なので飯に困ることが多い。そんなとき多用しているのが、新宿三丁目のカフェのゴミ捨て場だ。ここには、サンドイッチを作るために切り落としたパンの耳が毎日ポリバケツいっぱいに捨てられている。

 「この場所は人に教えていないのだから、パシャパシャと写真を撮るのは止めてくれないかな。それと、素手で取らないこと。ほら、パン耳が落ちたからちゃんと拾わないと」

 どうしても記録に残しておきたく、スマホで写真を撮ろうとすると怒られてしまった。パン耳を落としたままにしてしまうとネズミがやってきて荒らしてしまう。そうなると、カフェの店員も外にパン耳を出さなくなってしまうかもしれない。ほかのホームレスが行儀よくパン耳を回収するとは思えないため秘密にしているのだ。その代わりに回収した大量のパン耳は周辺のホームレスたちに配って歩くのだが、「俺はいらないよ」と断られてしまうこともあった。