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ワルシャワ=木寺もも子】ウクライナの隣国ポーランドでガソリン不足が広がっている。戦火が飛び火するのではないかとの不安から給油所に列ができ、販売数量が制限されている。ポーランドは歴史的にロシアへの警戒心が強く、現金を多めに確保しようと銀行窓口に並ぶ動きも出ている。

「ウクライナで戦争が始まってから急におかしくなった」。4日、ワルシャワ中心部にある石油最大手PKNオルレンのガソリンスタンド経営者は肩をすくめる。ロシアがウクライナへの侵攻を開始した2月24日にはガソリンを満タンにし、携行缶に給油する人も多くいたという。

PKNオルレンは声明で在庫は十分にあると訴え、パニックを防ぐため25日から一般車の給油量の上限を50リットルにするなど措置を講じた。大きな混乱には至っていないが、多くの給油所ではなお通常より長い待ち時間が生じている。

4日にはワルシャワ中心部の銀行の支店前で、現金引き出しのための行列ができていた。並んでいた女性は「現金を使う機会はあまりないが、一部のATMで現金がなくなり不安になった」と話した。

シンクタンク、カジミール・プラスキ財団のカタジーナ・ピサルスカ理事長はこうした行動について「ウクライナの状況がひとごとではないという危機感がある」と説明する。

ロシアがポーランドにも攻撃すれば加盟する北大西洋条約機構(NATO)全体との対決に発展しかねないが、「過去の侵略や占領の経験から、ロシアに対する人々の恐怖心は強い」という。

ポーランドの与党は3日、国防予算を国内総生産(GDP)比で現状の2%程度から4%に引き上げる考えを示した。24年以降に2・5%にするとしていた当初案から踏み込んだ。