https://news.yahoo.co.jp/articles/3985564b327d021060965b67c8e20901d5e56b4d
「ネットスーパーの逆襲」が始まる?買い物の常識が変わるかもしれない3潮流
●ネットスーパーの逆襲は始まるのか? 未来を予測
コロナ禍で外出を控える人が増える中で、「ネットスーパーを利用し始めた」という声を聞くようになりました。とはいえ、まだ少数派かもしれません。
LINEが昨年5月、約1000人の女性ユーザーにコロナ禍でのネットスーパー利用の現状を調査したところ「現在利用している」が10%、「以前使っていたが、いまは使っていない」が11%という状況でした。
ネット通販初期から注目されてきたネットスーパーですが、ネットバブルから20年以上たった最近でも、まだこの程度の普及率です。その一方で「いよいよブレーク前夜か?」という変化もあって、大手小売店の間でネットスーパーへの投資も増えてきました。
そこで今回は、ネットスーパーをみんなが使う未来はやってくるのか?を予測してみたいと思います。
●ネットスーパーには四半世紀変わらない 二つのボトルネックが潜んでいる
さて、私が最初にネットスーパーの戦略立案のお手伝いをしたのが1996年でした。当時、アメリカで3〜4社のネットスーパーの起業が話題になっていて、日本でも成功する可能性が高いのではないかという話になったのですが、ボトルネックが大きいことが分かり、見送りになりました。
この当時分析した消費者側のボトルネックは、2022年現在でもそのままネットスーパー事業の課題となっています。それは、以下の2つです。
(1)スーパーに買いに行くよりも高くなる
(2)受け取りたい時間に受け取れない
実は、最初に紹介した「ネットスーパーを現在利用している人」と「以前使っていたけれど、いまは使っていない人」の数がだいたい同じなのは、このボトルネックの障壁が意外と高く、一度使ってみたけれどやめてしまう人が半分ぐらいいることを示しています。
ネットスーパーで買い物をすると、たとえば1回あたり330円ほどの配送料がかかります。それ以外に、商品一つ一つの価格を見ると、なんとなく店頭価格よりもちょっと高い気がします。それは当然で自分が買い物する代わりに、誰かが商品の注文を受けてピックアップして配達してくれるとなると、それだけのコストがかかるのです。
とはいえ、多少のコストがかかってもネットスーパーを利用したいという人はいます。典型例は仕事が忙しいビジネスパーソン。でも、肝心の受け取りができない。配送時間の11時から21時のどこかで確実に家にいるかどうかが、確約できないのです。しかもマンション併設の宅配ボックスは、当然ではありますが「生鮮食料品禁止」になっています。
以前、私の仕事場があるビルの宅配ボックスに通販で魚を届けさせた人がいました。その人が3〜4日放置したせいで、とにかく臭いがひどかった記憶があります。宅配ボックスはネットスーパーで使ってはいけません。
このような制約から、「多少の追加費用を払ってでもネットスーパーを必要とする顧客」×「その人が必要な時間に届ける手段」という掛け算をすると市場が小さくなる。
その一致点をどうビジネスにするのかが難しくて、これまで20年以上ネットスーパーは拡大してこなかったのです。
●激変するネットスーパー市場を掴む 三つのキーワードとは?
今、そこにコロナ禍とDX(デジタルトランスフォーメーション)革命が同時にやってきて、大手スーパー各社とも「もう一度、ネットスーパーにチャレンジしてみようか」「今回はチャンスがありそうな気がする」という雰囲気に、業界の空気が変わってきているというわけです。
では、どの前提が以前と変わってきたのか?三つのキーワードでネットスーパーの未来を考えてみます。
(1)大手ITプラットフォームの活用
現在、楽天とアマゾンの2社がさまざまなスーパーと提携して、ネットスーパーへの参入支援をしています。たとえば、首都圏では西友と楽天、ライフとアマゾンがタッグを組んでいます。
一般にスーパーがネットスーパーに参入するには、「初期投資」が大きなボトルネックになります。
具体的には、
・ネットを通じてユーザーをどう集客するか?
・注文を受けるITシステムをどう構築するか?
・受けた注文を店舗で効率よくピックアップし配達するためにどうするか?
というすべての工程で投資が発生します。
しかも、ネットスーパーはノウハウが重要です。下手に自前でシステム投資をするとオペレーションが高コストになって、せっかく出した利益の足を引っ張ったりします。