サウジとUAEの首脳、バイデン氏との電話会談を拒否

米ホワイトハウスは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の首脳とジョー・バイデン大統領との電話会談を手配しようとしたが、失敗に終わった。
中東諸国と米国の当局者らが明らかにした。
米国はロシアのウクライナ侵攻に対抗するための国際支援の確保や高騰する原油価格の抑制に取り組んでいる。

 当局者らによると、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド・ナハヤン皇太子はこの数週間に米国からバイデン氏との会談を求められたが、いずれも拒否した。
サウジとUAEの当局者らは当時、米国の中東政策に対する批判を強めていた。

 米当局者はサウジのムハンマド皇太子とバイデン氏の会談計画について、「電話会談への期待がいくらかあったが、実現しなかった」とし、
「その目的の一つは(サウジ産原油の)蛇口を開くことにあった」と述べた。

 バイデン氏は、ムハンマド皇太子の父親であるサルマン・ビン・アブドルアジズ・サウド国王とは2月9日に会談し、両首脳とも両国の長期的な協力関係の重要性を強調した。
UAE外務省は、同国のムハンマド皇太子とバイデン氏との電話会談の日程は改めて調整されると述べた。

 サウジ当局者によると、サウジ側はバイデン政権下で米国との関係が悪化したと示唆している。
サウジ側が求めているのは、イエメン内戦に介入するサウジへの支援強化、イランが民生用原子力開発を進める中でサウジ独自の開発に協力すること、米国でムハンマド皇太子が法的責任を問われないことなどだという。
ムハンマド皇太子は、サウジ人記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件などに関連して米国で複数の訴訟に直面している。


 当局者らの話では、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が最近、UAEとサウジにミサイル攻撃を行ったが、それに対して米国が厳しい措置を取らないことをUAEとサウジは懸念している。両国政府にとってはイラン核合意の再建も不安要素だ。UAEとサウジの他の安全保障上の懸念に対処しないまま、交渉は最終段階に入っている。

 ホワイトハウスは、原油価格が約14年ぶりに1バレル=130ドルを突破する中、中東の主要国として味方につけておく必要がある両国との関係修復に取り組んできた。主要産油国の中で数百万バレルの増産能力があるのはサウジとUAEだけだ。

 サウジとUAEの両皇太子は先週、バイデン氏との会談を拒否した後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談した。その後、ウクライナの大統領とも会談した。サウジ当局者によれば、米国はサウジのムハンマド皇太子にウクライナ紛争の仲介を求めている。ムハンマド皇太子は仲介に乗り出す意向を示した。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は今週、サウジのムハンマド皇太子と原油について近く話し合う予定はなく、バイデン氏がサウジに訪れる予定もないと述べていた。

https://jp.wsj.com/articles/saudi-emirati-leaders-decline-calls-with-biden-during-ukraine-crisis-11646784732