[ニュースデスク]◀アンカー▶
日本の円は基軸通貨である米ドルに次ぐ代表的な「安全資産」として認められてきました。
ところが今回のウクライナ戦争では、こうした「安全資産神話」が崩れています。
◀レポート▶
先月、ロシアがウクライナを侵攻した後、日本円に前になかった不思議な流れが現れました。
ドル当たり115円前後だった円が118円を超える「円安現象」が現れたのです。
韓国ウォンよりも多く、主要国通貨の中で最も動きました。
代表的な「安全資産」で、過去の戦争や災害のような急変事態のたびに需要が集まって「円高」になったのと正反対です。
円の「安全資産神話」が壊れたのです。
[松野官房長官(昨日17日)] 「特に最近円安の進行を含め、外国為替市場の動向と日本経済に及ぼす影響を確実に緊張感を持って注視しています。」
最大の理由は貿易赤字です。
2012年のアベノミックス以降に累積した貿易赤字が30兆円を超えるうえ、今年1月には1兆1800億円、1985年以降最大の赤字を記録しました。
成長率は上がらないのですが、ウクライナ戦争後の原油をはじめとする資源値が大きく上がったからです。
海外保有資産の変化も原因です。
日本は335兆円に達する世界最大の対外純資産国家なので、有事に海外資産を売って円を買ったが、これが難しくなりました。
10年前でも株式や債券などすぐに処分できる資産が多かったのですが、今は外国企業を買収する直接投資の割合が大きくなり、すぐに売れなくなったのです。
ここにゼロ金利の円で高金利外貨に投資するいわゆる「円キャリー取引」も低金利の「ドルキャリー」に置き換えられて円が必要なくなったことも一役買いました。
[唐鎌大輔/みずほ銀行首席エコノミスト] 「日本円を安全資産といえる最大の理由である(円の)需給環境が最近根本的に変わっていないかという声が増えました。」
ところが日本は昨日(18日)市場にお金を解く量的緩和維持を決定し、円の価値はさらに落ちるという展望が出ています。
前例のない円高値下落は、日本経済の弱点が明らかになったという評価が出ていますが、日本のように輸出中心経済に、資源海外依存度の高い韓国も決して他人の事で見るのは難しいという指摘です。
https://news.v.daum.net/v/20220319203412272