放課後の子どもたちがお小遣いの小銭を握りしめて通える小さな駄菓子屋が、京都市内に相次いで誕生した。「店舗」は自宅玄関やガレージの一角。駄菓子屋は開店に際しての複雑な手続きが不要なため、思い立ったら始めやすいことも背景にありそうだ。幼い頃に駄菓子屋に親しんだ母親が、「今の子どもたちにも楽しい思い出を」と選び抜いたお菓子を並べて待っている。
山科区小山松原畑町に昨年3月にオープンした「駄菓子屋ひみつきち」は、正木瑳来さん(30)が自宅の玄関に作った。小学校低学年の頃、近所にあった駄菓子屋で好きなお菓子を選ぶ時間が大好きだった正木さん。「いつかは自分も店をやりたい」との夢があったという。
ただ、実際に始めてみると仕入れ代などが予想以上にかさみ、開店2カ月で一時閉店を迫られた。しかし子どもたちからの再開を待ち望む声に背中を押され、インターネットのクラウドファンディングで支援を呼び掛け。秋に再オープンを果たした。限られたスペースを有効活用しようと、100円ショップで購入した資材で陳列用の棚も自作。今は子どもたちの好きなくじ付きの菓子に力を入れる。
偶然、別のところにも
上京区竪神明町で昨年10月にオープンした「駄菓子屋パンダ」は、鈴木朝渚さん(39)が自宅ガレージの一角に約170種類の菓子を並べる。閉店時は畳んでいる棚を開くと、自転車置き場を兼ねたガレージは店舗に早変わり。「ビッグカツ」「モロッコヨーグル」など昔懐かしいものからTikTokなどで話題の「地球グミ」までバラエティー豊かな駄菓子が並ぶ。
正木さんも鈴木さんも、小学生を育てる母親の立場から、子どもたちのお金の使い方もきちんとチェック。「ここでお金の使い方を学んでほしい」といい、買いすぎと感じた場合には「そろそろやめとき」「くじ引きはこれで最後やで」などと声をかける。
共通する「悩み」は利益率の低さ。駄菓子は単価が数十円程度と低いこともあって、店の儲けはほとんどないという。それでも2人が店を開け続ける原動力は、子どもの喜ぶ顔だ。「子どもたちが『おばちゃーん』と笑顔で来てくれるのが何より嬉しい」https://news.goo.ne.jp/article/maidonanews/region/maidonanews-14576009.html