ウクライナのゼレンスキー大統領(大統領府提供・AP)

ゼレンスキー大統領 ガチ生演説 事前すり合わせなし “TVジャック”各局生中継準備
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 ウクライナのゼレンスキー大統領は23日午後6時から、日本の国会でオンライン形式の演説を行う。テレビ各局は生中継で伝える態勢を整えており、日本のテレビが“ゼレンスキージャック”されることになりそうだ。
戦地のウクライナから、大統領が何を語るかに注目が集まる。

 英国やカナダ、米国、ドイツ、イスラエル、イタリアなどでオンライン演説を行ったゼレンスキー氏。米国では「真珠湾攻撃」、ドイツでは「ベルリンの壁」など、各国の歴史を踏まえたスピーチだった。
元コメディアンらしい表現力と語り口で世界の支持を広げた大統領が日本の国会で戦場から何を語るのか。10〜15分程度を予定し、ウクライナ語で行われ、同時通訳が入る。

 ロシアがクリミア半島を一方的に併合した2014年から19年まで駐ウクライナ大使を務めた元外交官の角茂樹氏は「クリミアと同じく不法占拠されたという意味で、北方四島の話は出るでしょう」と指摘する。

 折しもロシア外務省が21日、北方四島の帰属を含む日本との平和条約締結交渉を継続する意思はないと声明を発表。一方的な主張を突きつけられた日本にとって「北方四島」が共感を呼ぶワードとなる可能性もある。

 角氏によると、他に触れられそうなのは「原発」だ。「チェルノブイリと福島で事故が起きた両国は原発が攻撃されたことに憤りを感じている」とみる。また「日露戦争」が出る可能性も。ウクライナでは地域によって異なるが大多数は「極東の小国にすぎなかった日本が大国ロシアを撃破した衝撃を大きく受けている」。今でも軍の教科書に記載されているほどという。

 元々ウクライナ国民が持つ一般的な日本のイメージは「戦後、敗戦のどん底から経済大国となった国」。それを率直に述べることで日本人の心をつかむこともありそうだ。

 “演説行脚”でゼレンスキー氏が共通して訴えたのは、ロシアの制裁とウクライナの支援。角氏は「ウクライナにとって日本は最大の支援国。感謝とともにさらなる経済的、技術的な支援の要請もあるだろう」と語った。

 衆院広報課によると、日本の国会で海外の国家元首が「オンラインで演説するのは初めて」。過去にはミッテラン仏大統領や、米国のレーガン、クリントンの両大統領らが議場で演説。
要人の演説では内容をすり合わせるのが恒例だが「今回は行われず、何を言うのか分からない怖さもある」(与党関係者)。
岸田政権内では「液化天然ガスなど、ロシアのサハリン州で地下資源を開発するプロジェクトには日本も出資しているが、国際社会が注視する中で、具体名を出されたらキツイ」と危惧する声も上がっている。