https://news.yahoo.co.jp/articles/4623802cb905b81cb0c36c56e77b476067c98f5c

ロシアの新聞「ロシア軍死者9861人」報道、後に削除

政府寄りの「コムソモリスカヤ・プラウダ」が報道 ロシアの公式発表の19倍を超える数字 SNSで拡散、削除後に「ハッキングされた」
 ロシア政府寄りのメディアが、1万人に迫るロシア軍の死者数を報道したが、その後削除した。

 ロシアのタブロイド紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」は21日、「ロシア国防省によると、ウクライナ特別作戦中に死亡したロシア軍兵士は9861人で、負傷者は1万6153人」だと報じた。この記事は、ロシア軍がウクライナで戦果を上げているというロシア当局の主張を伝える内容が中心で、ロシア軍の犠牲者数は短く言及された。しかしその後、コムソモリスカヤ・プラウダは死者数を削除した。

 米国CNNは、インターネットコードを分析した結果、この記事はモスクワ時間で午前0時9分にウェブサイトに掲載され、午後9時56分に記事がアップデートされた際に死者数が削除されたと報じた。CNNは「ロシア軍の死者数が言及された記事がソーシャルメディアで注目を浴び、その後、(死者数が削除されて)アップデートされた」と報じた。コムソモリスカヤ・プラウダは声明で、「管理者インターフェイスがハッキングされた。誤った数字は削除した」と発表した。コムソモリスカヤ・プラウダは旧ソ連の共産主義青年同盟の機関紙で、現在は民営化されている。政府寄りで、ロシアでよく読まれている新聞の一つ。

 削除前の記事に登場したロシア軍の死者数は、ロシアの公式発表の19倍以上。ロシアは今月2日、ウクライナ戦争中に死亡したロシア軍兵士の数は498人、負傷者数は1597人としているが、発表は一度きりで、その後は戦死者数を発表していない。

 米国の推定するロシア軍の死者数は、コムソモリスカヤ・プラウダの削除前の記事に近い。米「ニューヨーク・タイムズ」の16日の報道によると、米国の情報当局は、ウクライナへの侵攻開始(2月24日)から約3週間でロシア軍に約7000人の死者、1万4000人から2万1000人の負傷者が発生していると推定している。

 米政府の資金援助を受けてチェコのプラハに本部を置く「自由欧州放送」は18日、ベラルーシ南部のホメリ地域の匿名の病院労働者の話を引用し、ロシアが13日にロシア軍兵士の2500体以上の遺体をホメリからロシアへと移送したと報じた。