今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
 いらなかったんだ、そんなもの。
 (どうして?)
 おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
 (わからないよ)
 わからないさ。
 だってずっと子供のままだったんだから…
 キミは…。 
 (………)
 長い時間が経ったんだ。
 いろいろな人と出会って、いろいろな日々に生きたんだ。
 ぼくはあれから強くなったし、泣いてばかりじゃなくなった。
 消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
 乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
 光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
 ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
 言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
 そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
 駆け抜けるような4ヶ月だった。
 そしてぼくは、幸せだったんだ。
 (滅びに向かって進んでいるのに…?)
 いや、だからこそなんだよ。
 それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
 滅びに向かうからこそ、すべてはかえがえのない瞬間だってことを。

 こんな永遠なんて、もういらなかった。
 だからこそ、あのときぼくは絆を求めたはずだったんだ。
 …オレは。