ロシア政権内部に異変…要人辞任・動静途絶、「クーデター辞さず」観測も

相次ぐ離反、解任、軟禁
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 ロシアのウクライナ侵攻から1か月が経過し、プーチン政権内部の異変が相次いで伝えられている。プーチン大統領が頼りとする情報機関に「クーデター」も辞さない空気が漂っているとの観測まで出始めた。

今月23日、アナトリー・チュバイス大統領特別代表(国際機関との調整担当)がウクライナ侵攻に反対して辞職し、出国したことが明らかになった。

 チュバイス氏はソ連崩壊後の1990年代にエリツィン政権の大統領府長官や第1副首相を務め、市場経済に移行する改革を推進したリベラル派だった。プーチン氏の側近ではないが、侵攻後に政権を離れた初の要人として注目された。

これに先立ち、アルカディ・ドボルコビッチ元副首相は政府系財団の代表を辞任した。ドボルコビッチ氏は米メディアに侵攻反対を表明していた。プーチン政権を支える新興財閥(オリガルヒ)の一部も反戦を公言する。

 米ブルームバーグ通信は、プーチン氏から最近、3期目の指名を受けたエリビラ・ナビウリナ中央銀行総裁が、侵攻開始後、辞意を表明していたと伝えた。

 米CNNなど米欧メディアは、セルゲイ・ショイグ国防相の動静が2週間近く伝えられなかったことに強い関心を寄せている。

 大統領府は24日、ショイグ氏がオンライン形式での安全保障会議に出席し、「軍事作戦について報告した」と発表し国営テレビは動画も放映した。だが、調査報道が専門のメディアは画像の不自然さを指摘しており、軍事作戦の難航の責任を問われているのではないかとの疑念が消えていない。

 ロシアでは、プーチン氏に政治情勢を報告していた情報機関「連邦保安局」(FSB)の複数の幹部が「懲罰」として軟禁されているとみられている。

 英紙ザ・タイムズは23日、FSBが「クーデターを起こすリスクが日増しに強まっている」とする内部告発情報を報じた。FSB幹部が、米欧による厳しい経済制裁の直撃を受けたことに不満を募らせているのが理由だとしている。

 政府系調査機関によると、ウクライナ侵攻を支持する人の割合は約7割という。しかし侵攻はプーチン氏の政権基盤を揺さぶり始め、政権の今後について「崩壊するかどうかではなく、いつ崩壊するかの問題だ」(ロシアの歴史学者アンドレイ・ズボフ氏)との指摘さえ聞かれるようになった。

 侵攻に対する異論が今後、プーチン氏の側近にまで広がるかどうか注目される。

https://news.yahoo.co.jp/articles/097828eb73b71dfd93f60343b3e5c31fc4b0c876