ふがいない日本の現状
この本でもうひとつ書いたのは、今の日本のふがいなさです。

「優秀な大学生はアメリカの大学に進んだ方がいい」「会社の経営者に外国からいい人を連れてくる」
「総理外遊時には外国のシンクタンクや大学の日本研究に巨額の寄付を行う」といったことを聞くたびに疑問に思います。

明治日本は、全国に官立の中学、高校をつくり国立大学を整備しました。他のアジア諸国と違い優秀な人は外国に行かずに済みました。
これが日本の基礎的な力となったのです。ノーベル賞の真鍋教授の指摘を待つまでもなく、いま日本の研究環境は恵まれていません。
同じくノーベル賞の山中教授も研究員の雇用確保費用捻出のため腐心しておられるとのことです。
日本よりはるかに恵まれている先進国の研究機関に資金提供するより自らに投資すべきです。

外国に資金提供するなら途上国の貧困家庭の優秀な学生が自国の国公立大学に進学させるための返済不要の奨学金がいいと思います。
頭脳を国外に吸い上げないし渡航費用、滞在費も要りませんからたくさんの学生を支援できます。

実業界では外国から経営者CEOを招くケースがふえてきました。本当に社内、国内に人材はいないのか探したのでしょうか。
社内にいないならそれは人育てをしてこなかった経営者の責任ではないでしょうか。
長く君臨しイエスマンばかりで周囲をかため頼りなくみえてしまうのでしょう。経営者として胸を張れることではなく恥ずべきことだと思います。

今の日本で大事なことは自らの人材育成、未来志向的研究に投資することです。
台湾企業に巨額の補助金を出して半導体の工場を建設してもらうことになっています。
こういう基幹的産業についてはもう少しはやく自力でなんとかできなかったのでしょうか。

今なら間に合います。日本人の力で日本を再生、ルネッサンスする、自らを恃むという気概が欲しいと思います。
次世代の方々に期待してトーチを託したいと思います。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92263?page=5