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「売れない・貸せない・住む予定ない」家の絶望未来、「当時8000万円もしたのに・・・」

■10年で3割も人口が減った埼玉県のニュータウン

 埼玉県比企郡鳩山町には、鳩山ニュータウンという瀟洒(しょうしゃ)な住宅団地がある。この地域は1971年、当時の日本新都市開発(2003年に特別清算)という会社が開発し、
1974年から1997年にかけて分譲した3000戸を超えるニュータウンである。

 東武東上線「高坂」駅から現地まではバスで10分から15分ほど。豊かな自然環境に恵まれたこの街は、「楓ヶ丘」「鳩ヶ丘」「松ヶ丘」といった素敵なネーミングを施された街区に分かれ、
とくに1990年代の平成バブル期に分譲された松韻坂地区は分譲価格が8000万円台、埼玉県内のニュータウンでの分譲価格としては破格の高値として話題を呼んだ。

 統一感のある街並みと景観は数々の賞に輝き、大企業に勤めるアッパーなサラリーマンや経営者に人気を博した。

 だが、その後この街は、ニュータウン凋落の象徴的な街としてたびたびメディアに登場するようになる。2010年には9979人を数えた人口が、わずか10年後の2020年に7018人、なんと30%の人口減少が生じたのである。

この街から都心への通勤は、最寄り駅が東武東上線「高坂」駅となるが、駅までのバス利用で15分程度、高坂から池袋まで急行で55分、新宿まで1時間10分、大手町には1時間20分である。
バス停までの時間、待ち時間や乗り換え時間を加味すれば、東京都心までは1時間半から1時間40分コースとなる。

 通勤におけるこの時間距離が、街からの人の流出を促している。鳩山町自体はまだ空き家率は8.9%で埼玉県全体の10.2%を下回っているが、この街で起こっていることは、1世帯当たりの人口の減少である。
鳩山ニュータウンを含む鳩山町全体では、1995年の1世帯当たり平均人員は3.5人であったが、2020年には2.2人と急速にしぼんでいる姿が浮き彫りになる。