防衛医科大学校と大阪大学などの研究グループは、日本人15万人以上を対象にコーヒーの飲用習慣と痛風発症リスクの関係を調べたところ、コーヒーを飲む習慣によって痛風発症のリスクを軽減する可能性が高いことを突き止めた。
コーヒーの成分などを分析し、痛風発症のメカニズムの解明や発症予防に生かしたい考えだ。

新型コロナウイルスの流行が影響し、ストレスや体重増加による生活習慣病の増加が指摘されている。生活習慣病の一種である痛風は、尿酸の値が高い状態が続くと発症し、足などの関節の痛みに襲われる病だ。
一方で、日本人では尿酸値が高い「痛風予備軍」が1000万人程度いるとされるが、実際に痛風を患うのは100万人程度にすぎないという。尿酸値が高くても痛風になりにくいなど、なりやすさに影響する要因が別にあると考えられている。

これまで経験的にコーヒーの飲用習慣は痛風の予防に効くと考えられてきたが、先行する欧米の疫学研究では統計分析などが不十分だった。

今回、研究チームは、これまでにゲノムの個人差を解析する「GWAS」で調査した日本人15万以上について、週にコーヒーを飲む日数と尿酸値や痛風発症リスクについて統計解析した。
コーヒーを飲む日数を0日から7日まで8段階に分けて調べたところ、コーヒーの飲用習慣を持つ人が週1日コーヒーを飲む日を増やした場合、痛風発症のリスクが25%程度軽減される可能性があるとわかった。コーヒーを1日に飲む量や回数については検討していない。

コーヒーを飲む日数を増やしても、痛風の発症に関係が深いと考えられてきた尿酸値の変動には影響がなかったものの、痛風の発症リスクは有意に下がった。
防衛医大の松尾洋孝教授は「コーヒーを飲むという行動は尿酸の値には影響せず、痛風のリスクを下げる傾向にある」と話す。

コーヒーの成分のうちの何が痛風の発症軽減に作用しているかは詳細は不明だという。研究成果は、米国の医学専門誌に掲載された。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0427E0U2A400C2000000/