<ロシアは年間1万4000人の女性が死亡するほどDVが横行しているが、さらにDVの罰則を軽減する改正法をプーチンが成立させた>

ロシアで「平手打ち法」と呼ばれる改正法が成立した。

すでに圧倒的多数の賛成でロシア議会を通過していたこの刑法の改正法案は、今月7日プーチン大統領が署名をして成立させた。このニュースは世界的に報じられ、ロシア政府に対する非難の声が上がっている。

「平手打ち法」とはいったいどんなものなのか。実は、この改正法により、ロシアでは家庭内暴力(DV)の罰則が一部軽減されることになる。つまり、法律で「平手打ち」などのDVが容認されるというのだ。

ロシア刑法第116条が改正され、親族に対する暴行は刑事罰から排除されることになる。また犯行を繰り返す常習犯は刑法で裁かれるものの、初犯ならばDVは刑事事件ではなく行政処分の対象とされる。また妻や子供に痣や出血を伴う怪我を負わせた場合、罰金又は15日の禁固刑が科される場合があるが、改正前は最大で2年の禁固刑だった。

なぜロシアでは、こんな時代錯誤とも言える改正法が成立したのか。ロシアではDVに対して他の先進国とは違った認識をもっている人が少なくないようで、例えば米AP通信はモスクワからの配信記事で、ロシアでも暴行は犯罪だが、妻に平手打ちをするくらいは特に驚くことではないと伝えている。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/02/dv_1.php