【ESSAY】思いやりの心はどのように育つのか
ずるい、ずるくないという気持ち
子どもたちの日常生活を観察していると、しょっちゅういざこざ≠ェあります。
物の取り合い、遊びの順番でのトラブル、おやつが多い少ないなどの不平といった場面です。そこで多く発せられる子どもたちの声は「ずるい!」という言葉です。
一体子どもたちにとってどういうことが「ずるい」と認知されるのでしょう。
こうした分配における正義のことを、分配的正義(Distributive Justice)といいます。
この分配における公正観の発達が、私の博士論文のテーマとなりました。
私たち大人は、クッキーが一つしかないとき、子どもが2人いれば半分こにしようとします。
つまり「同じ数ずつ分けるのが良い(均等分配)」という考えが習慣付いています。
しかし、子どもによっては「たくさん頑張った方がたくさんもらうべきだ(公平分配)」
「おなかがすいている子がたくさん食べればよい(必要に応じた分配)」
「あの子はいつも食べられないから、全部あげてよい(愛他的分配)」
「自分だけ欲しい(利己的分配)」といったさまざまな主張があるわけです。
こうした分配に関する正義は、大人との関わり方や教育に影響されますが、
利己的分配から均等分配、公平分配、必要に応じた分配や愛他的分配へと発達していく道筋があることが分かりました。
http://phronesis.hosei.ac.jp/article/article-20220316154026