大阪府吹田市在住で、バングラデシュ出身の会社員マホムッド・ジャケルさん(49)が、自らの半生を書いた自伝
「パンツを脱いだあの日から――日本という国で生きる」(ごま書房新社、1430円)を出版した。ユニークなタイトルは来日後初めて訪れた銭湯で受けた衝撃から名付けている。

 マホムッドさんはバングラデシュの農村部出身。現地の短大を卒業後、先に日本で働いていた兄を頼って1994年に来日。
日本語を学んだ後、千葉県の城西国際大人文学部を卒業した。現在はハクキンカイロ(大阪市)で輸出業務に携わるかたわら、府警のベンガル語通訳なども務めている。

 来日後、風呂なしアパートに住んだマホムッドさん。銭湯に行ったものの、イスラム教の教えに忠実な故郷では、
男性でも家族の前だろうと裸になることは考えられず、パンツをはいたまま浴場へ行こうとしたという。ところが番台のおばさんから「下着を脱いでから行くように」と指示され、非常に驚き、5分間悩んだ末に入浴した。

 「いろんな感情があふれ、涙を流しながらシャワーを浴びた」と当時を振り返る一方で「それまでのプライドも一緒に流れ去って、新しい自分になった」と笑う。

https://mainichi.jp/articles/20220416/k00/00m/040/071000c