四半期報告書廃止へ、18日金融審議会で議論開始:日本経済新聞
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金融庁は18日に開く金融審議会で、上場企業が四半期ごとに開示する決算書類の一本化に向けた議論を始める。法定の四半期報告書を廃止して取引所の決算短信に一本化する方針だが、不正防止や決算の正確性を保証する監査法人の意見書の扱いなどの制度設計を詰める。金融庁は短信と同じ内容を「臨時報告書」で開示するようにして、企業の負担を軽減しつつ虚偽記載を法律で罰せる仕組みの導入を検討している。

上場企業は四半期ごとに、金融商品取引法に基づく四半期報告書と東京証券取引所のルールに基づく短信をそれぞれ開示している。内容には重複部分が多く、事務負担を軽くしたい企業側から見直しを求める声があがっていた。金融庁は第1四半期と第3四半期を対象に金商法上の四半期報告書を廃止して短信に一本化する方針だ。第2四半期の扱いは今後、詰める。

課題もある。監査法人が企業の決算内容が正確だと担保するレビュー(意見書)は短信ではなく、金商法上の四半期報告書に対してつけている。単純に短信に一本化すると、監査法人がレビューをつける決算は年1回の有価証券報告書だけになり、不正の発見が遅れるとの懸念がある。

このため金融庁は15日に公表した金融審の資料で、監査法人のレビューの扱いは今後の制度設計次第としつつ、開示した短信を同じ内容で「臨時報告書」として開示する案を記載した。虚偽の記載があった場合は金商法に基づいて四半期報告書と同様の罰則を科せるようにするためで、米国ではすでに同様の仕組みを導入している。

投資家に判断材料を提供するために四半期以外の適時開示を充実させる手法や、短信に盛り込む具体的な内容も議論する。企業側の事務負担を軽減しつつ、投資家の判断材料となる情報開示が後退しないようにする。年内に制度設計を詰めたうえで、早ければ2023年の通常国会に金商法改正案の提出を目指す。