私は昭和56年に今はその呼び名は無くなりましたが、早稲田大学第一文学部。一文に入学しました。今からちょうど40年前になります。
そして5年ほど前から、理工学術院で、教授という偉い名前で講義をいくつか受け持って、是枝研究室という部屋までいただいております。
その縁もあって、母校である早稲田大学の学生たちに入学式や卒業式で今回のような祝辞を、と、何度かお誘いいただいていたのですが、自分が当時、入学式も卒業式も参加していない。せっかく授業が休みになっても野球の早慶戦は一度も観戦せず、ラグビーの早明戦は明治の応援席で観戦した、と、いう極めて母校愛の無い大学生活を送ったもので、こんな人間がおめでとうを言う資格があるはずがない、とずっと倫理的な理由でずっとお断りをしてきた次第です。ただ最近は年齢のせいか、この「母校」という文字や響きにちょっと魅かれるようになってきておりまして、お正月の駅伝などたまたまチャンネルを合わせてしまうととにかくえんじのユニフォームを捜してしまうくらいには愛情が芽生えて来てまして。
今回、流石に喜んでというわけではありませんが、断りきれずにお引き受けした次第です。ただ2月3月とずっと撮影をしていたものですっかりこの式のことを忘れていてというか、考えないようにしていて、つい先日頭のサイズを聞かれまして、急に緊張と後悔で…いよいよ、自分もあの四角い帽子を被るのか、と。リモートにならないかな、とか、不謹慎なことも考えていましたが、まあ、どうせ参加するなら、こうしてリアルに皆さんとこの場を共有できた方がいいに決まっていますので、今日ここに来られて大変光栄に思っております。普段はこういうスピーチは、事前には原稿を書かずに、その場の成り行きや、前の方のスピーチ内容を受けて場当たり的に喋るのですが、今回は翻訳の作業があるのでアドリブは厳禁と言われておりまして、そう言われると尚更原稿には無いことを喋りたくなるのですが、ちょっと我慢します。

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