主張 G20財務相会議 なぜ退席しなかったのか

ロシアのウクライナ侵略後、20カ国・地域(G20)で初めての閣僚級会合となった財務相・
中央銀行総裁会議は、ロシア対応を巡る参加国間の亀裂が表面化し、共同声明を
発出できないという異例の事態となった。

残念な結果である。厳しい対露批判で足並みをそろえることができず、ロシアの暴挙に
起因する世界経済の混乱に何らの手立ても講じられないのでは、G20の存在意義に
疑念を抱かざるを得ない。

米ワシントンで開かれた会議では複数の国がウクライナの人道危機に懸念を示し、
侵略の早期終結を求めた。ロシアからはシルアノフ財務相がオンラインで参加し
財務省高官が現地で出席した。

露代表の発言時にはイエレン米財務長官ら欧米の代表や会議に招待されたウクライナ
財務相が退席する一幕もあった。ロシアに抗議する当然の意思表示である。
問題は、鈴木俊一財務相と黒田東彦日銀総裁が退席しなかったことだ。

鈴木財務相は閉幕後、「退席せず、会議の場でロシアを厳しく批判した」と述べた。

会議で批判すべきは言うまでもない。その一方で退席という明確な形での抗議表明に
加わらないようでは、日本の対露姿勢の弱さを示すことにならないか。

G20に続いて開かれた先進7カ国(G7)の声明はロシアの侵略を強く非難し、
ロシアのG20などへの参加を「遺憾」とした。ならばなおさら、G20の場でのロシア側の
発言に抗議の行動を起こさなかった日本の対応はおかしい。
https://www.sankei.com/article/20220422-6XZJOHC4UZKM5O5UFGUSFJ5MTM/