―ジミーさんは2015年から5年ほど休筆しています。当時はなぜ、絵を描くことをやめてしまったのでしょうか?
ジミー:焼き鳥屋でご飯を食べているときに、「深夜アルバイト、時給1,200円」の張り紙が目に入ったんですよ。そのときに、ふと自分の絵の1枚あたりの時給を計算してみたんです。そしたら、380円。あまりに安すぎて、「もうやっとれんわ!」と筆を折ってもうたんですよ。
―とはいえ、画家として順調に活動してきただけに、やめるのは勇気が必要だったのでは?
ジミー:それもまわりの人からよく言われたんですよ。「不安にならないの? 後先のこと考えへんの?」って。でも、一回アカンと思ったら、やめる決断は早いんです。さんまさんにも昔っから「アカンかったら、一回休め」と言われていました。だから、今後のことも考えずにスッパリと。考えてもしゃあないしね。なんとかなるやろうと。
それで、吉本に「絵やめます」って言ったら「あ、わかりました。どうぞ、どうぞ」って(笑)。吉本って、やめようが何しようが、本人の自由なんですよ。ある意味、いい環境ですよね。それでいて、「またやりたくなったら、力を貸しますから」とも言ってくれました。
―休筆中、たまに絵を描きたくなることはなかったですか?
ジミー:ありましたよ。ロケに行ったときに絵を描いてみたいなと思ったりしましたね。
―地方の綺麗な景色を見て、描き残したくなったわけですね。
ジミー:いや、ロケしんどいなと思うてね。これなら絵描いてたほうがラクかもなと。
―ああ、そっちでしたか(笑)。
ジミー:ぼくって気持ちがマイナスに落ちると、どっちがラクかなって考えてまうんですよ。もともと、ラクして生きたいから芸人になったわけやしね。ただ、実際に描く気にはなかなかならなかったですけどね。
―それでも、2020年にまた描き始めた。
ジミー:それも、きっかけはさんまさんの言葉ですね。絵を描かない理由を聞かれて時給のことを言ったら、さんまさんは「あのな、タレントもそうやけど人を喜ばせる仕事は時給計算したらアカン」と。「どうするかはお前の勝手やけど、せっかく、たくさんの人に喜んでもらえるんやったら描いたほうがええんと違うか?」とおっしゃっていただいて、そのとおりやなと。
ぼくって、タレントの仕事は途切れても、絵の依頼だけはずっと途切れなかったんです。そうやって、価値をつけてくれる人がいるんやったら頑張らなアカンなと思いました。
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