(CNN) 砲塔部分が吹き飛ばされたロシア軍の戦車の残骸は、同国のウクライナへの侵攻が計画通りに進んでいないことを示す最新の兆候だ。
ウクライナ侵攻の開始以降、これまで破壊されたロシア軍の戦車は数百台に上ると考えられている。ウォレス英国防相は25日、その数を推計で最大580台と発表した。
しかしロシアにとっての問題は単に台数のみにとどまらない。専門家らは戦場を写した画像から、ロシア軍の戦車がある不具合を抱えていることが分かると指摘する。それは西側諸国の軍隊が数十年間にわたり認識している欠陥で、「ビックリ箱」効果と呼ばれている。ロシア側もこの問題については把握していたはずだと、専門家らはみている。

問題は戦車の弾薬の搭載方法に関連する。最新の西側の戦車と異なり、ロシア軍の戦車は回転式砲塔の内部に多数の弾薬を搭載している。被弾の際の危険は極めて大きく、直撃ではない場合でさえもそこから連鎖反応が始まり、搭載する最大40発の砲弾がすべて爆発する恐れがある。
その結果生じる衝撃波の威力で、砲塔は2階建ての建物ほどの高さにまで吹き飛ぶこともある。最近ソーシャルメディアに投稿された動画に映っている通りだ。

米シンクタンク、海軍分析センターでロシア研究プログラムの顧問を務めるサム・ベンデット氏は、上記のような問題を「設計上の欠陥」と説明。「とにかく弾が当たりさえすれば、たちまち搭載した弾薬に引火し、大爆発を引き起こす。砲塔は文字通り吹き飛ぶ」と述べた。同氏はセンター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティー(CNAS)の非常勤シニアフェローも務める。
こうした欠陥に対し戦車の搭乗員はなす術がないと、英国陸軍の元将校で現在は防衛産業アナリストのニコラス・ドラモンド氏は指摘する。戦車には通常、砲塔に2人、運転席に1人の兵士が乗り込んでいるが、被弾から「1秒以内に脱出しなければトースト状態」だという。

https://www.cnn.co.jp/world/35186993.html
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