京都大学 大学院工学研究科の須田 理行 准教授、辺 智芸 同博士課程学生、
筒井 祐介 同助教、関 修平 同教授、加藤 研一 同助教、
生越 友樹 同教授らの研究グループは、二硫化モリブデン
(MoS2)と呼ばれる層状化合物の層間にキラル分子を
挿入した新奇な化合物である「キラルMoS2」が、
電流中のスピンの向きを同方向に揃える性質を持つことを
明らかにしました。また、同化合物を水の電気分解(水電解)に
おける電極材料として用いると、スピンの向きが揃った
電流の効果によって、酸素発生効率が大きく向上することを
見いだしました。
電流を担う電子の1つ1つは、スピンと呼ばれるミクロな磁石と
しての性質を持っていますが、通常はそれぞれのスピンの向きが
バラバラなために磁石としての性質は全体として打ち消しあってしまい、
電流中のこのミクロな性質が電気化学反応に利用されることは
ありませんでした。これまでは、電流中のスピンの向きを揃えるには、
主としてレアメタルから構成される強力な磁石や電磁石といった
大がかりな装置が必要とされてきました。
一方、本研究では同化合物を電極上に塗布するだけで、電流中の約75パーセントものスピンの向きが同方向に揃い、
酸素発生反応を効率化させることができることを明らかにしました。

本成果は、水電解による水素生成技術を効率化する一助となり、
持続可能な社会の実現に資する革新的反応制御技術となることが期待されます。
本成果は、2022年4月28日(現地時刻)に
ドイツの国際学術誌「Advanced Science」にオンライン掲載されました。

以下詳細そーすで
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20220502/index.html