「9市町庁舎に津波襲来」 宮城県、新たな浸水想定を公表
2022年5月10日 14:00

 宮城県は10日、太平洋側の巨大地震で最大級の津波が発生した場合の浸水想定を発表した。県全体では東日本大震災の約1・2倍となる391平方キロが浸水し、被災地の集団移転先やかさ上げ地の一部も含まれる。沿岸15市町のうち13市町で震災の浸水面積を超え、9市町の役場庁舎に津波が襲来する。

 津波の高さは最大で気仙沼市本吉町道外の22・2メートル。第1波の到達時間は、気仙沼、石巻両市が最も早い21分と予測した。

 15市町の浸水面積では、松島町が震災の3倍(6平方キロ)、女川町が約2・1倍(6・2平方キロ)、多賀城市が約1・9倍(11・2平方キロ)。同市と亘理町は約57%が浸水する。

 庁舎が浸水するのは石巻、塩釜、気仙沼、多賀城、岩沼、東松島の6市と亘理、松島、女川の3町。

 最大の津波の高さは南三陸町で21・2メートル、女川町で20・7メートル、石巻市で19・6メートルが想定される。

 県は①東日本大震災級の三陸沖②日本海溝(三陸・日高沖)③千島海溝(根室・十勝沖)―を震源とする巨大地震を設定。震災とは異なり、満潮時の発生や津波の越流による防潮堤の破壊、地盤沈下といった悪条件を重ねて算出した。

 津波浸水想定は、2011年12月施行の津波防災地域づくり法に基づく。策定を義務付けられている40都道府県のうち、宮城と東京が未公表だった。福島は19年3月、岩手は今年3月に公表し、被災3県の想定が出そろった。

 宮城県は同日、沿岸15市町の津波浸水想定図をホームページで公表した。

https://kahoku.news/articles/20220510khn000034.html