現在の中国共産党の最も重要な課題は体制を維持することである。

 誰の目にも中国の高度経済成長は終わった。不動産バブルは崩壊し始めた。大学を作り過ぎたために卒業生が年間1000万人にもなっているが、その全てをホワイトカラーとして社会に受け入れることはできない。しかし大学を出た中国人はブルーカラーになりたがらない。それが中国の社会通念であるからだ。その結果として若者の失業率が高止まりし、社会に閉塞感が漂っている。中国共産党は中国がこのような状態であることを知った上で体制を維持しようとしている。

 最近の習近平政権の施策は、日本や欧米また上海に住む中国人にとって理解不能と言ってよい。ハイテク企業を虐めてなんになるのだろう。現在ジャック・マーは軟禁に近い状態にあるとされるが、中国経済の英雄を虐めれば多くの経済人が萎縮する。学習塾を廃止すれば、若者の学力が落ちる。習近平は経済成長を阻害する政策ばかり打ち出している。そして今度は上海ロックダウン。

 しかし外から見れば奇妙に見える政策も、農民は拍手喝采を送っている。上海で豊かに暮らし、自分たちを見下していた人々がロックダウンによって苦しんでいる。食料も満足に得られないようだ。「ざまーみろ」と言ってやりたい。

 途方もない富を持つジャック・マーも軟禁状態だ。軟禁状態ではお金を持っていても楽しめないだろう。学習塾や家庭教師の禁止も、良い政策だ。学歴社会の中国では、学習塾や家庭教師は格差を助長する装置でしかない。

 貧しい人々は歓喜している。中国の声なき声は習近平を強く支持している。

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