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日産系メーカーがまたぞろ経営危機…大手自動車部品老舗の「河西工業」がADR候補に

曙ブレーキ工業を皮切りにサンデン、マレリホールディングスと続いてきた自動車部品大手のADR(裁判外紛争解決手続き)申請による経営破綻劇。そんな中、業界関係者らの間で「次のADR候補」ともっぱらなのが、河西工業だ。

 東京証券取引所プライム上場の自動車内装インテリア部品の大手メーカーで、現在、ADR成立への協議が進められているマレリと同じく日産自動車系。創業1912(明治45)年の老舗だ。

■ゴーンショックとコロナ禍で売り上げ半減

 屋台骨が揺らぐ“元凶”となったのは言うまでもない連結売上高の6割近くを占めていた日産のゴーンショックによる業績悪化だ。これにコロナ禍や半導体不足に伴う同社や第2大口顧客・ホンダの生産調整が追い打ちをかけ、「世界的な供給網の混乱による部品調達難」(関係者)が重なった。

 何しろ2019年3月期に1339億円と1000億円の大台を超えていた日産向けの売上高は21年3月期には704億円とほぼ半減。同じく553億円だったホンダ向けも328億円と4割超落ち込んだ。

 これではたまったものではなかろう。河西工業ではこの間、日本と北米で早期退職制度を実施して約280人をリストラ。国内生産子会社の再編やスロバキア事業の撤退など構造改革に踏み切ったものの「焼け石に水」(事情通)。2期連続の最終赤字に陥った。今月16日発表予定の22年3月期決算も北米事業での減損計上などで175億円の最終赤字に沈んだもようだ。

 財務体質も急速に劣化した。19年3月期末に615億円あった自己資本は直近243億円にまで約6割目減り。有利子負債の増大もあって、4割超あった自己資本比率は17%台に低下し、今決算期末には融資を受ける際に取引金融機関との間で交わした財務制限条項(コベナンツ)に抵触したとみられる。

 河西工業では日米での生産拠点の閉鎖など追加リストラで23年3月期は「最終損益を何とかトントンにまで回復させたい」としているが、ウクライナ情勢の長期化に米国利上げに伴う世界経済の減速懸念も漂い、予断は許さない。「すでに主力行のりそな銀行と債務削減に向けた協議に入っているようだ」(金融筋)との観測も飛ぶ。