ウォール街のトレーダー、携帯100台余り調査か−ワッツアップにもメス
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-18/RC20ETT1UM1101


ウォール街の主要金融機関に対し、トップトレーダーやディールメーカーが使う個人携帯電話100台余りを対象に組織的調査に着手するよう米証券取引委員会(SEC)が指示している。通信アプリ「ワッツアップ」などプラットフォーム経由のひそかなメッセージのやりとりに対し、かつてない規模で調査のメスが入る。

  SECの要請を直接知る複数の関係者によれば、特定の投資銀行チームやトレーディングデスクの責任者など、約30の主要ポジションのリストが金融機関に送付され、それらのポストに就いている社員や行員は、弁護士が調べられるよう携帯の提出を命じられた。

  米銀シティグループとゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、英銀HSBCホールディングス、クレディ・スイス・グループを含む金融機関は、米当局の調査要請に対応している最中としているが、これら全てが社員や行員の携帯にアクセスしているかどうか明らかでない。

  未承認のプラットフォーム経由でやりとりされたビジネス関連メッセージの保全を怠ったウォール街の金融機関の処分に向け、専門職同士や顧客との会話で許可されていないメッセージプラットフォームを利用する慣行がどの程度広がっていたか、米金融規制・監督当局が把握する狙いがある。

  関係者によると、長年のオフィスでの気さくな会話や個人的テキストまでくまなく調べられる可能性がある個人携帯へのアクセス要請は、極めて慎重を要する事案となるため、仲介者として行動しプライバシー保護の一定の体裁を保てる外部弁護士を金融機関は手配しているという。

  弁護士らはビジネスに関係するメッセージを探すよう依頼されており、嫌な上司に関する同僚への愚痴が対象と見なされることはなさそうで、上司に知られることはない。規制・監督当局は今の段階ではおおむねメッセージの内容を把握しようとしておらず、むしろ誰がどの程度の頻度で規則に違反するメッセージ手段を利用していたか情報を得たいもようだ。