国営TV局『ロシア1』のトークショーでは、番組司会者のウラジミール・ソロヴィヨフ氏が兵站への不満をぶちまけた。「けれど、我々の兵に何かを届けるのは事実上不可能では。この不満は100回も述べてきた。」 氏は補給網に問題があると指摘し、前線の兵士に物資を届けるまでに長時間を要していると指摘している。

ウクライナ戦線で重要な役割を占めるドローンについても、生産数の少なさと輸送網の貧弱さが足かせになっていると氏は嘆く。「ドンバス地方に何かを持ち込みたいなら、(西部)リヴィウのウクライナ税関を通す方がまだ早い」との皮肉だ。

ソロヴィヨフ氏はこれまでプーチン政権のプロパガンダを積極的に担っており、国家批判の発言は異例だ。デイリー・メール紙は「プーチンの最も有名な操り人形のひとつ」であるソロヴィヨフ氏が軍部を「公然と批判しはじめた」と報じた。

同紙は続ける。「ウクライナ政府転覆をねらう『特別軍事作戦』に数日間を見込んでいたところ、突入から2ヶ月以上が経つ。プーチンの太鼓持ちたちでさえ、進展のなさに言い訳が尽きたようだ。」

ここ数日でウクライナは猛烈な反撃をみせており、5月9日にはハルキウ北部の2つの都市を配下に取り戻した。少なくともこの地方においては、ロシアとの国境から約16キロの地点まで押し返したことになる。ロシア軍としては、ウクライナ深部に取り残された部隊への補給線の寸断の可能性も現実味を帯びてきた。

軍への怒りを爆発させるのは、ソロヴィヨフ氏だけではない。番組内にゲスト出演したロシア国家院(下院)のセミョーン・バグダサロフ議員は、司会を務めるソロヴィヨフ氏の主張に大いに同調し、貧弱な物資補給に怒りを示した。「国(ロシア)は、戦時中のアプローチに移行する必要がある。馬鹿げた行動はもう十分だ。」

番組出演者らはさらに、兵士たちが「去年の装備(もはや旧式となった装備)」で戦地に送り出されているとも述べ、近代化が遅れるロシア軍の状況を憂慮している。

ロシア有利と思われた兵力差に関しても、もはや顕著な利点にはならないとの主張が出てきた。元ロシア軍大佐のミハイル・キョーダリョノク氏は国営TVへの出演を通じ、ロシア軍には物資も兵力も不足していることから、兵を総動員しても戦況が大きく好転することはないだろうとの予測を語った。「我々には、(前線への投入に備える)予備隊がないのだ」と氏は述べている。

以下略
https://news.yahoo.co.jp/articles/1bf4998ea85cdd2bc54d8927ef89b31cff9fb44e