ロシア軍が侵攻したウクライナ南東部マリウポリで投降したウクライナ内務省系軍事組織「アゾフ連隊」の兵士らについて、ロシア捜査委員会は17日、「戦争犯罪人」として訴追する方針を明らかにした。タス通信が伝えた。ロシア側が戦争による市民の被害などを責任転嫁するため、一方的に裁く恐れがある。
 ロシア国防省によるとマリウポリで16日以降に投降したウクライナ兵は900人を超えた。欧米メディアは、一部がロシア支配地域に移送され、刑務所だった施設に収容されたと伝えた。ウクライナ政府によると、投降は両国の休戦合意に基づく「退避」だった。
 ロシア政府は、アゾフ連隊がウクライナの民族性を重視し、反ロ的な態度を示しているとして「ネオナチ」と非難してきた。捜査委員会は、アゾフ連隊には「ウクライナ東部ドンバス地域の市民に犯罪行為を行った」との容疑があると主張している。
 ロシア下院は18日に「ナチス的犯罪者は捕虜交換の対象とすることを禁じる」と定めた決議を審議。政界では、ロシアで2009年に事実上廃止された死刑を復活させ、アゾフ連隊の兵士を処刑するよう求める声も出ている。
 マリウポリではロシア軍が包囲した3月1日以降、避難所となっていた劇場や病院が空爆され、市民ら2万人以上が死亡したとされる。ロシア軍は被害について「すべてアゾフ連隊やウクライナ軍の仕業」と訴えている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/178160