久保建英のレアル復帰は「簡単なことではない」 スペイン紙番記者が推奨する新チーム候補は?
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 スペイン1部マジョルカの日本代表MF久保建英のスペイン3シーズン目も、残すところあと1試合となった。ここまでのリーガ・エスパニョーラでの成績は28試合に出場して1得点0アシスト、17試合に先発出場するもフル出場はわずか3試合のみだ。

 今季の久保は、所属元であるレアル・マドリードとの一戦で負った膝の重傷により、2か月間もの長期離脱を初めて経験。さらに3シーズン連続となる残留争いが最終節までもつれ込むなど、フィジカル的にもメンタル的にもつらいシーズンであったように思う。

 シーズンも終わりを迎えているこの時期、優勝争いや残留争いなどの話題のほかにも、来季の移籍情報が次々と飛び交い始めた。当然、久保の去就についてもさまざまなメディアが報じている。しかし、スペインの大手紙からはほとんど具体的な情報は出ておらず、「マルカ」紙が先日、マジョルカが来季も1部でプレーする場合、久保の残留を希望していると報じた程度である。

 また、久保がレアル・マドリードに戻るうえで絶対条件になっているEU圏外枠に関して、依然として状況は変わらず現時点で空きはない。3枠を占めているブラジル代表選手(ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エデル・ミリトン)の中で、ヴィニシウスのスペイン国籍取得が間近だと報じられたのは2か月近く前のことで、それ以降、なんの情報も出ていない。

 このような状況を踏まえたうえで、スペイン大手紙「ラ・ラソン」でレアル・マドリードの担当記者を務めるホセ・マヌエル・マルティン氏に、久保のレアル・マドリード復帰の可能性について語ってもらった。

「レアル・マドリードがクラブ史上初めて契約を結んだ日本人選手なので、日本中がタケの未来に期待する気持ちは理解できる」と前置きしたうえで、「しかしタケが来季、マドリーに戻るのはまったく簡単なことではない」と厳しい状況であることを示唆した。

「タケは高いクオリティーと素晴らしい才能を備えており、さらにイマジネーション豊かな選手だ」とその実力を認めつつも、「しかし、近年のレンタル期間中に、レアル・マドリードのメンバーにふさわしいほど成長できたかというと、それは疑わしい。まだサンティアゴ・ベルナベウで自分の居場所を作れるほど重要なプレーヤーへの飛躍を遂げてはいないと思う」とパフォーマンスになんらかの物足りなさを感じているようだ。

 さらに、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)最多13回の優勝を誇るレアル・マドリードのポジション争いが熾烈であることも久保の復帰を妨げる原因のひとつであると考えている。

「久保のライバルとなるのは、加入濃厚と言われる(キリアン・)ムバッペのようなワールドクラスの選手たちや、ヴィニシウスやロドリゴのように急激な進化を遂げている選手たちだ。また絶対的エースの(カリム・)ベンゼマが健在で選手層も厚いため、前線に空きはほとんどないと言っていい。タケはこれまでレンタル先でいいプレーをしていたし、ゴールを決めることもあった。しかしパフォーマンスは断続的で、マドリーに戻れるほど華々しい活躍ができているとは言い難く、そのような選手たちとポジション争いできるほどのプレーヤーにはまだなれていない」

 来季もレンタル移籍でプレーすると仮定した場合、レアル・マドリード復帰を目指す久保に適したクラブを聞いてみると、「昨季は失敗したが、私はやはりビジャレアルのようなクラブでプレーするのがベストだと思う。そのようなレベルのクラブにはリーガを代表するような選手たちがいるので、タケはスター選手としての役目を担う必要などなく、余計な責任を負う必要もない。リラックスした状態でプレーできるので彼の成長につながると思う」と、再びワンランク上のクラブで挑戦し、落ち着いた環境の中でプレーするのが大事だと結論づけた。

 久保は5月22日に残留を懸け、オサスナとのリーガ最終節に臨み、今季の全日程を終了する。