マイナ保険証の加算措置見直しへ 政府、利用者の負担軽減

政府はマイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」の普及に向け、4月の診療報酬改定で新設した加算措置について、廃止を含め見直す方向で検討していることが23日、わかった。医療機関でのマイナ保険証の活用を後押しするために診療報酬を引き上げたが、カードを使うと支払いが増える仕組みは国民の理解が得にくく、カードの利用拡大に逆行しかねないと判断した。

政府は6月上旬に策定予定の経済財政運営の指針「骨太の方針」に、カード普及の推進策の一環として、医療機関への必要なシステム導入の義務化とあわせ関連する財政措置を見直す方針を盛り込む。ただ、夏の参院選を控えて医療団体の反発を招く懸念もあることから、今後段階的な縮小も含めて詳細を詰め、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に諮る予定。

昨年10月にマイナ保険証の利用が始まったのを踏まえ、政府は今年4月の診療報酬改定で「電子的保健医療情報活用加算」を新設した。顔認証付きカードリーダーで患者の保険資格を確認する「オンライン資格確認システム」を持つ医療機関や薬局は収入増となった一方、カードを提示した患者は自己負担3割の場合、初診で21円、再診で12円、調剤で9円の負担が新たに生じることになった。

従来の保険証を使う場合でも、システムを導入済みの医療機関であれば、令和6年3月までは初診時に9円の追加負担がかかる。

マイナ保険証は、患者が同意すれば診察時に過去の特定健診や処方された薬の情報を医師と共有できるなど、医療の質の向上や業務効率化につながると期待されているが、システムを導入済みの医療機関は全体の2割弱にとどまっている。参院選を前に、政府・与党内では「選挙の逆風になる」(閣僚経験者)と懸念が出ていた。
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