知床 観光船沈没 運輸局と運航会社とのメール明らかに
2022年5月24日 19時23分 知床観光船沈没

24日に開かれた立憲民主党の事故検証チームの会合では、去年「KAZU 1」が起こした2件の事故を受けて行われた特別監査のあと、運航会社「知床遊覧船」が「改善報告書」を作成する過程で、国土交通省北海道運輸局との間で交わされたメール、合わせて5通が示されました。

それによりますと、初めに、北海道運輸局側から「御社に見合ったものを作成していただければと思います」と前置きしたうえで、10の改善項目を明記した「改善報告書」や、会社内で実施した安全対策の会議について「会議報告書」などの例文を運航会社側に提示していました。

これに対し、運航会社は、1週間後に運輸局側が示した例文にほぼ合わせた形で、改善報告書などを提出していました。

その後も、運輸局から運航会社に細かな修正を求める形で、メールでのやり取りなどを繰り返していました。

これについて国土交通省は「事前に電話などで聞き取りをしたうえで、あくまでイメージを示した。小規模事業者を相手にする場合、手厚くサポートしないと、ことが先に進まない面もあり、やむをえないところもあるが、いきすぎた点があったことも事実なので、見直してきちんと対応する」としています。

事故検証チーム座長 “国土交通省のずさんさ象徴”

立憲民主党の事故検証チームの座長を務める大串博志衆議院議員は、記者団に対し「運航会社が提出した改善報告書は、ほとんど実質的な意味をなしていなかったことが明らかになり、国土交通省の検査・監督体制のずさんさを象徴的にあらわしている。去年の国の特別監査がきちんと行われていれば、今回の事故は避けられたのではないかという思いを強くした」と述べました。

また、作業船で運ばれていた観光船が海底に落下したことについて「観光船がきちんとつながれているかを確認しないまま作業が進められていた可能性があり、非常にずさんだったと言わざるをえない。ここにも行政側の落ち度があったのではないかという気がしてならず、さらに事実関係を解明していく」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220524/k10013641641000.html