学歴や性別、年齢などにかかわらず、誰でも公平に稼ぐチャンスがあるとされてきたタクシー業界。しかし、その「実力社会」が、今少しずつ変容しつつあるという。
(中略)
今やタクシーは、目の前を走っているタクシーに乗るのではなく、車種や会社を選んで乗る時代となった。タクシーはただ目的地に行くための手段だけではなく、快適な空間をも求めたニーズの変化がそこにある。
そのためタクシー会社はそれぞれに差別化を図ろうとし、その差が今、顕著に出始めている。
東京オリンピック開催に合わせて開発されたJapantaxi(ジャパンタクシー)。無観客となり活躍の場が失ってしまったが、従来のタイプのセダンタクシーと違ってスライドドアタイプで車高も高く車内も広い。
そしてUD(ユニバーサルデザイン)タイプであり、車椅子の人も降りずにそのまま乗車できる。SDGsが叫ばれている昨今、時代に適したJapantaxiは乗客からの人気も高い。
あからさまに従来のセダンタイプをスルーして、Japantaxiに乗る乗客の光景を目にすることがある。スルーされたタクシードライバーは不可抗力と言わんばかりにハンドルを叩いてくやしがっていた。
乗客の心理として同じ料金を払うのであれば、Japantaxiタイプを選ぶのも無理ないであろう。大学病院や高級ホテルなどの施設によっては、セダンタイプのタクシーの入構を断るところもある。セダンタイプとJapantaxi、どの車種に乗るかでドライバーの営収は大きく変わってくる。
優良マークのついたタクシーを目にしたことがあるだろうか。これは会社やドライバーが優良であることの証である。毎年、タクシー会社には評価が下され点数がつけられる。事故、違反、クレーム等が点数化され、一定の点数を下回ると優良と指定されないのだ。つまり、優良マークのないタクシーは不可のレッテルを貼られたようなものである。
銀座の乗り場や都内主要の駅タクシー乗り場など、稼げる場所と言われる所には、この優良マークのついたタクシーしか並べない。
他にも契約されたタクシー会社しか入構できないホテルや病院などの施設などもあり、もはやこのような「武器」を備えていないタクシー会社のドライバーは、常にハンデを負いながら営業をしなければならなくなっている。
各業界に押し寄せるDXの波。それはタクシー業界も例外ではない。
今やタクシーは見つける時代から呼ぶ時代へと変わりつつある。その大きな要因がタクシーアプリの普及である。タクシー会社が、タクシーアプリに加入しているかいないかという問題を通り越し、現在はどのタクシーアプリに属するかで勝負が決まる状態まできている。
タクシーアプリの中では、乗客がタクシー会社を指定することも出来るので、今後は同じタクシーアプリ内でも競争が繰り広げられるであろう。今や営業の3分の1はタクシーアプリ配車による営業であり、その比率も逆転する日も近い。
もはやタクシーアプリなくしては生き残れない。タクシーアプリは今後もより便利さを追求していくだろう。タクシードライバーもただ運転するだけが仕事ではなく、付加価値を求められる時代となっている。
このコロナ禍では、営業に行き詰まった会社は資金力のある大手に吸収合併されるなど、タクシー業界内の編成も活発に行われた。そのことにより、
中小タクシー会社 < 大手フランチャイズ < 大手グループ < 大手タクシー会社
の構図が鮮明になってきている。
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