ある日のこと、韓信は町の若者に

「てめえは背が高く、いつも剣を帯びているが、実際には臆病者に違いない。その剣で俺を刺してみろ。できないならば俺の股をくぐれ」
と挑発された。

韓信は黙って若者の股をくぐり、周囲の者は韓信を大いに笑ったという。

その韓信は、「恥は一時、志は一生。ここでこいつを切り殺しても何の得もなく、それどころか仇持ちになってしまうだけだ」と冷静に判断
していたのである。この出来事は「韓信の股くぐり」として知られることになる。