「指定ゴミ袋が買えない」 愛知・半田市で品薄 背景に新型コロナ

愛知県半田市内で、市指定のゴミ袋の品薄状態が続いている。市には「袋が買えずゴミが出せない」「代わりに別の袋を使っていいか」といった市民からの苦情や問い合わせの電話が相次いでいるが、市は今のところ代替袋の使用は認めていない。なぜこのような事態になっているのか。

 30日午前、市内のドラッグストアの市指定ゴミ袋売り場では、可燃ゴミ袋の棚はサイズを問わず全て空。「1家族様各種1点の購入制限をさせていただきます」と書かれた張り紙がむなしい。市内に住む女性(67)は「『どこに行ってもない』と気づいたのは3週間くらい前。早くなんとかして」とため息をつく。

 市環境課によると、特に品薄が続いているのは可燃ゴミ袋の小サイズ(30リットル)と大サイズ(45リットル)。昨年10月以降、製造委託している大分県内の工場からの納入が減り始め、3月には市の在庫も空。小売店から注文が入っても引き渡すことができなくなった。

 背景にあるのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。工場従業員の感染による人材不足や原材料の輸入停止などで、生産能力が低下したという。市の担当者は「当初は2〜3カ月で回復すると思っていたが想定が甘く、このような事態を招いてしまった」と釈明する。

 ◇市民不安で「買いだめ」

 ただ、工場からの納入数は5月以降、増加しており、各店舗に対して、例年の販売数は納品できているという。にもかかわらず買えないのはなぜなのか。担当者によると、原因の一つは「買いだめ」という。買えない時期があったことで市民に不安が募り、それぞれが家庭のストック数を増やそうと多めに購入。その結果、店舗に納品されても棚からはすぐに消えてしまうのだ。

 市はホームページを連日更新し、直近でゴミ袋を納入した店舗情報を掲載するなど対応に追われてきたが、市民からの苦情や問い合わせ電話は1日40〜50件まで増大。25日になってようやく、久世孝宏市長名でホームページにおわびを掲載し、大量購入を控えるよう呼び掛けている。

 市は2021年度から家庭ゴミの有料化を始めたが、紙オムツなど対象外のごみは透明袋に入れて出すことができる。今回の混乱で透明袋など代用品の利用を希望する声も多いが、市は「納品見込みがあるため」(担当者)これまで通り指定袋での対応を求めている。茨城県などの一部自治体では、品薄によって代替袋を認めたが、半田市の担当者は「あちらは納入先の工場がある海外の都市がロックダウンされ、袋を替えるしかなかった」と違いを強調する。

 品薄はいつまで続くのか。担当者は「現在も納品数を増やしている。買いだめがなければ行き渡る状況にあるので協力していただきたい」と話す。
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