──そうですよねぇ……一般文芸がアニメっぽい表紙にして
ライト文芸なんて言って売るような時代になりました。

水野:
 ライト文芸はライトノベルの方法論が一般文芸に浸透した、そういうものですよね。

あかほり:
 ファンタジー小説もさ。そもそもやると売れねえって。
だから『アルスラーン戦記』も、角川の『緑帯』っていうんだけど。
あんとき、どこ見ても『ファンタジー』って書いてねぇんだよ。

 これ、田中芳樹先生【※】に聞いたら「当時、ファンタジーって書いたら売れないから
編集部から絶対ダメって言われた」って。だからあれができたのが、すごかったんだよね。
スニーカーができる前にあれができたから。

──アルスラーンは1986年ですよね。ロードスが88年出版ですか。

あかほり:
 コンプティークの連中が頑張ってね。水野さん、あん時ってさぁ。
スニーカー文庫の編集部って、コンプティークの編集と一般文芸の編集と、両方が出してよかったんだよね?

水野:
 そうそう。スニーカー文庫は角川の文芸の編集部と、メディアオフィスの……
コンプティークの編集部とか、そういう感じで。編集部っていう感じじゃなくて。
 もともとは、角川文庫にあった『青帯』っていう
亜レーベルというかサブレーベルというか、そんな感じでしたから。
それがスニーカー文庫という形で完全に独立して、スニーカー文庫『編集部』ができたんじゃなかったかな。


当時の"ファンタジー"ジャンルって
編集部から見たら地雷扱いだったのか…