30年で子どものIQが「3歳分」も低下した背景事情 | 子育て | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
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(前略

1980年代に、知能研究者のジェームズ・フリンが興味深い現象について書いている。前世紀の間、IQスコアが10年ごとに約3ポイント上昇していたため、研究者は15年ごとに曲線を再正規化する必要があるというもので、「フリン効果」と呼ばれている。

この効果は、先進国を中心に世界的に見られ、専門家は、栄養状態の改善、刺激的な環境、教育の進歩、特に特別支援教育などの社会環境要因が影響しているのではないかと考えた。

しかし1980年代から1990年代にかけて、先進国ではIQの上昇が緩やかになり、その後停滞する一方で、発展途上国ではIQの上昇が続いていることから、環境の恩恵を最大限に受ければIQは実質的な「天井」に達すると考えられた。

ところが、それと同じくらい興味深いことに研究者たちは気づき始めた。2007年、ロンドン大学キングスカレッジのマイケル・シェイアー教授などが、「実は傾向が逆転している」という驚くべき研究結果を発表したのだ。

1975年から2000年にかけて数学と科学の知能を測った指標では、知能は1990年代半ばでピークに達したにもかかわらず、そこからは大幅に低下していた。さらに、2000年から2003年にかけて、中学1年生の生徒の知能は低下し続けていたのだ。

この研究では、ほかにも次の3つの興味深い発見があった。

①男子と女子の間の数学と科学の得点差がなくなった。
②男子も女子も得点が下がっているが、男子のほうが女子の約2倍も下がっている。
③高得点者も低得点者も、一様に得点が下がっている。

(後略