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競馬の外れ馬券は経費か

一時所得は、事業ではないとして原則的に必要経費は認められません。
なぜなら、仮に外れ馬券が経費になれば、勝つまで馬券を買い続けることができることになってしまいます。
そのため、ギャンブルで得た収入は事業ではなく必要経費とは認められないとされていますが、2017年に、「競馬を事業として行っている場合には、外れ馬券は経費である」という判決が最高裁で確定されました。
この裁判は、競馬の外れ馬券が経費であるか争われた裁判で、最高裁判所では、外れ馬券を経費であると認めたのです。

2017年最高裁は「外れ馬券は必要経費である」と認めた

札幌に住んでいる原告の男性は、平成22年までの6年間、インターネットで計72億円の馬券を購入し、合計約5億7,000万円の収入を得ていました。
男性は、競馬を事業として行っており、馬券で得た収入は「雑所得」であるとして、外れ馬券を経費に算入して申告していました。しかし、札幌国税局は外れ馬券の購入代金を経費と認めず、約1億9,000万円の追徴課税を行いました。
ところが、最高裁判決では男性の訴えが認められ、外れ馬券を経費と認めたため、課税処分が取り消されることになったのです。
(※収入より経費の方が多くなり赤字であるため)
前述したとおり、競馬が単なる趣味であり一時所得と判断される場合、事業ではないとして外れ馬券は経費と認められませんが、この裁判では、「馬券の購入が、この男性の経済的な活動であり、事業としての実態がある」と認定され、外れ馬券が経費と認められることになりました。

2015年にも「外れ馬券は必要経費である」と認めた裁判例も

外れ馬券を経費と認めた判例は、他にもあります。
2015年3月10日、最高裁は自動購入ソフトを使ってネットで大量の馬券を購入していた大阪の男性の行為は「営利目的の継続的行為」であるとして、払戻金は雑所得であり外れ馬券は経費と認める判断を下しました。
営利を目的とする継続的行為から生じた雑所得に当たるか否かは、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間、その他の状況等を総合考慮して判断するのが相当である。一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの事実関係の下では、払戻金は雑所得に当たる。

外れ馬券が経費となる条件

競馬は通常事業、経済的な活動ではないとされますが、競馬を事業として行っていた場合には、「雑所得」として外れ馬券が必要経費となります。
つまり、「事業としての実態がある」ことが、雑所得となる条件であり、雑所得と認定された場合には、外れ馬券が必要経費と認められることになります。
国税庁では、これらの判決を受けて、一時所得について以下のような通達を出しています。
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)
1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。