プラスチックと石油が生んだ新たな汚染物質「プラスチタール」が、自然環境を破壊する

石油の流出で生じたタールにマイクロプラスチックが混ざった新たな汚染物質が、海に面した岩場を覆ってしまう事例がこのほど確認された。「プラスチタール」と名付けられたこの汚染物質は、世界中の海岸で自然環境を破壊していく危険性が指摘されている。

北西アフリカ沖に位置するカナリア諸島で最大の島・テネリフェ島の東海岸に伸びるプラヤ・グランデには、澄んだ海ときめ細かい砂が広がっている。しかし、地表に露出している岩礁によじ登ると違和感を覚えるかもしれない。この岩の多くは、ほかの岩よりも黒く、熱く、グニャグニャしていて、色とりどりの点々が散らばっている。

何だか面白そう、といった感想を抱くかもしれない。だが、実はそれは新種の汚染物質なのである。

発見した科学者は、このゾッとする岩を「プラスチタール」と呼んでいる。石油流出で生じたタールにさまざまな色のマイクロプラスチックが混ざったもので、世界中の海に野放しに吐き出されているのだ(マイクロプラスチックとは直径5mm未満のプラスチック片である)。

その科学者たちがプラヤ・グランデの岩石を精査したところ、半分以上がこの有害物質で覆われていたことが明らかになっている。また、近隣のエル・イエロとランサローテ島でも新種の汚染物質を発見した。

「タールはびっしりプラスチックで埋め尽くされている様子が分かりました」と、学術誌『Science of the Total Environment』に新たに論文を発表したラ・ラグーナ大学の分析化学者ハビエル・エルナンデス・ボルヘスらは語っている。「初めて遭遇した現象ですが、おそらくカナリア諸島に限らず世界各地で起きていると思います」

https://wired.jp/article/plastitar-is-the-unholy-spawn-of-oil-spills-and-microplastics/
https://media.wired.jp/photos/62a14a4a9938caefc5731bc4/master/w_960,c_limit/Plastitar_science_GettyImages-1373026980.jpeg