信号機のない横断歩道で、ライトの点滅によってドライバーに歩行者の存在を知らせる「注意喚起灯」の設置が進んでいる。横断者がいるのに一時停止しない車が多く、事故も後を絶たない。注意喚起灯は信号よりも安価で素早く設置でき、その効果も確認されており、警察も「歩行者の安全を守る一助になる」と普及に期待を寄せる。

 兵庫県明石市の信号のない横断歩道に3月下旬、注意喚起灯が新設された。ボタンを押すと、支柱上部の二つのLEDライトが車に向けて30秒間点滅。車は横断歩道の手前で止まり、住民らは安全を確認して渡った。

 この市道では昨秋、中学生が車にはねられて負傷する事故があり、地元から対策を求める声が上がった。

 市は信号の設置を検討したが、住民側は赤信号で止まることを避けたい車が市道近くの住宅街に流入してくることへの懸念を示した。このため、歩行者が渡るときだけ「赤信号」の役割を果たす注意喚起灯を設けることになったという。

 近所の女性(54)は「これまでは車が止まってくれず、渡るのは危ないと感じていたので助かっている」と歓迎した。

 警察庁によると、2021年に信号のない横断歩道で死亡した歩行者は78人、負傷者は3751人。近年は増減を繰り返しており、交通事故による死者数が5年連続で過去最少を更新しているのとは対照的だ。

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