大阪音楽大(大阪府豊中市)が貴重な収蔵楽器を手放すらしい――。大学教員が5月中旬、短文投稿サイト・ツイッターでこうした趣旨の発信をしたところ、本人の予想を上回る反響があった。その多くが、希少な収蔵品の散逸を危惧する内容。国内最大規模の「楽器の博物館」として学外にも開放されてきた音大楽器資料館は、教室確保のため縮小が検討されているという。取材すると、私立単科大ゆえの苦悩が見えてきた。

(中略)

 実は音大は10年前、校地拡張のため隣接する国有地の取得を計画したことがあった。当時の価格は9億円余り。音大側は、最大7億円での購入を希望したが、折り合わず断念したとされる。その国有地こそ、後に森友学園が開設を計画した小学校用地だった。一連の経緯は、8億円超という不透明な大幅値引きのうえ学園に1億3400万円で売却したことが発覚した17年に、財務省が明らかにしている。  結局、小学校計画は頓挫し、用地は売却に伴う契約に基づいて国に買い戻された。

 資料館のある建物を出ると、ついに一度も児童を迎え入れることのなかったレンガ色の校舎が目に入る。壁には「瑞穂の国 記念小学院」の校名。敷地はいまだ工事用フェンスに囲まれ、かなり雑草が目立つ。「あの時、土地を取得できていれば、いろいろな選択肢があったかもしれない」。中村理事長がつぶやいた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/90f7327648bd165a80b411b22fa3bdd4c9083169