富野由悠季VS庵野秀明 
「醜いものから眼をそむける日本の子どもたち」 

富野 実は今の日本で一番問題なのは、企業の偉い人とか経済人、大人たちが、商売のために若者にすり寄り過ぎ 
てることだと思うんですよ。若者に対してアンチテーゼを示すべき大人がいなくなってしまっていることが問題 
昨日たまたま、TVで『ロードス島戦記』ですか?やっているのを観ていたんですよ。
技術的にいえば、 やっぱり“りんたろうさん、上手だなぁ”と思うよ。 
庵野 あの作品が売れるというのはよくわかります。でも面白くないな、とぼくは思ってしまうんです。 
AM 受けてもある種、予定調和的なものの方を、安心して受け入れていくところがありますよね。 
富野 それは本当に気持ちの悪い部分とか、いちばん自分がみたくないものを、なにもビデオとか、アニメのレベル 
で突きつけられたくないからね。 
庵野 代償行為ですから、金を払ってまで気持ち悪いものを見せて欲しくはないのでしょうね。 
富野 そういったときに、ソフトを作っている人間の強いところは、そのようなシビアな部分も、申しわけないけど 
皆さん方がお楽しみにしている、アニメの中でもやっておくよ、といえることですね。 
10年後、20年後に効くように(笑)。 
庵野 やはり作品には毒を混ぜておかないと(笑)。特に子どもには毒を見せるべきだと思いますね。 
富野 絶対そうです。 
AM わかりました。本日はどうもありがとうございました。