一方「エアコン」は「エアーコンディショナー」の略で、空気の温度や湿度を調整する機能がある装置です。冷房・暖房の両方ともできるのが一般的です。

つまり、「クーラー」は冷房専用、「エアコン」は冷暖房両用というわけで、この2つはもともと違うものを指すことばです。

暖房に関して言うと、「エアコン」の暖房機能はかつてよりも進化してきています。冬でもストーブやこたつなどを使わないで「エアコン」だけで過ごすという家庭も多くなっています。
「クーラー」ではなく「エアコン」を備える家が、多くなっているのです。

こうした事情もあって、ことばの上でも、冷房機能を備えた装置のことを「クーラー」ではなく「エアコン」と呼ぶことが多くなっているのだと考えられます。

「クーラー」と言うか、あるいは「エアコン」と言うかをめぐっては、年代差があります。全国調査の結果では、60歳以上の年代では「クーラー派」もある程度多いのですが、それより下の年代では「エアコン派」の勢力がかなり強くなっています。
この背景には、装置としての「エアコン」の一般化が関係ありそうです。

また、地域差もあります。おおむね、関西・中国・四国・九州沖縄では「クーラー派」も多いのに対して、それ以外のところでは「エアコン派」が主流になっているようです。

なぜこのようになっているのでしょうか。比較的温暖な関西・中国・四国・九州沖縄では暖房機能をそれほど使わないため実際に「クーラー」を備え付けている家も多いのに対して、冬にかなり寒くなる地域では暖房機能が必要なので「エアコン」を設置していると思われることが、関係しているのかもしれません。

https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20190601_4.html