国際社会病理学者で米国凶悪犯罪に詳しい桐蔭横浜大学の阿部憲仁教授はこう語る。

山上容疑者とはどんな人物だったのか。

「山上容疑者の場合、母親の顔色をうかがうことを最優先するスタイルが染みついてしまい、社会で生きていくために必要な『自我』を確立できなかったのです。
そのため、他者からのちょっとした摩擦で傷付くようになります。
自分は悪くないのに、社会の人たちが平気で自己主張(攻撃)を繰り返す中、怒りが蓄積し、弱い自分を心理的に支えるために、ひそかに武器や暴力的な人間やグループ、過激な思想にはまり込んでしまったのです」

 実際、山上容疑者は自家製の銃を手に入れてしまった。

「山上容疑者は自分に向かう母親の愛情を奪った宗教団体代表を狙うつもりであったが、その実行が難しいので、その団体と近しい関係にあったと勘違いし、安倍氏をターゲットにしたと話しているようです。
そのように攻撃対象を安易にすり替えたのは、山上容疑者の最大の動機が自分の中に蓄積された怒りの排出にあり、それに値するターゲットを探していたからでしょう」(同)

 つまり、“復讐”など特定の対象に固執していたわけではないということだ。

 阿部氏は「そういった意味では『誰でもいいから殺したかった』とする無差別殺人犯と心理的には大きく変わらないと言うこともできます」と指摘している。

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