「敵ながらあっぱれ」安倍元首相の死を悲しむ良識的中国人の「本音」

 一方で、「こうした状況下では口に出して言いにくいですが、中国人の中にも安倍元首相の功績を称える者は少なくない」と話すのは、中国人ジャーナリストの周来友氏だ。

 「日本でも、ビジネスマンには安倍氏の支持者が多かったと思いますが、中国人も同じで、日中ビジネスに関わっている人は安倍政権下で恩恵を実感した。例えば安倍氏が進めたインバウンド政策は、日中双方の観光業に好景気をもたらしました」
靖国参拝をしても人気があった

 「特に在日中国人のなかには、安倍政権による外国人労働者や投資家に対するビザ要件緩和のおかげで日本に来ることができたという人も多く、日本にいる中国人の8割がたは、安倍氏に良い印象を持っています」(周氏)

 さらに日本とおよそ関わりの無い中国人の間でも、安倍氏は「注目度の高い政治家だった」(周氏)という。

 「中国人は良くも悪くも実行力のある政治家が好き。中国で人気のある日本の首相経験者としては、日中国交正常化を成し遂げた田中角栄は別格としても、中曽根康弘や小泉純一郎などが挙げられる。みんな在任中に靖国神社を訪問しているにもかかわらず、です。

 安倍氏もその一人。立場は違っても、『日本のために尽力した政治家として、敵ながらあっぱれ』という感情を抱いている中国人も多い」(同)

 安倍受難を祝う大多数のコメントに埋もれてはいるが、客観的な投稿がないわけではない。

良識派の声

 2016年に、家族旅行で宿泊していたグランドハイアット東京で安倍氏を目撃したという男性は、「憎しみを抱く国から来た中国人が泊っているのに、フロア全体が封鎖されているわけもなく、信じられなかった。(中略)息子が安倍総理に声をかけると振り返って手を振ってくれた」と安倍元首相との邂逅を投稿した。

 そして「(安倍氏の死を)喜んで祝うのは間違っている」と締めくくっている。

 また別の女性は、2020年4月に安倍元首相がインスタグラムにアップし、不評を買った「うちで踊ろう」の動画を投稿。「一国のリーダーでも気取らない、気さくな人だったように見える」と発言している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/78dd3a21788d6a14507c30a71013a1d4e38f3cbb?page=2