「♪ぐっとかみしめてごらん ママのあたたかい心がお口の中にしみとおるよ」

 「♪甘いお菓子のお国の便り おとぎの国のロシアの~」

 「モスクワの味」をキャッチフレーズにしたケーキやピロシキと、ロシア民謡調のCMソングで関西人に親しまれたパルナス製菓。
戦後、約半世紀だけ存在し、2002年に姿を消した。ただ、当時を生きた関西人の心には、驚くほど広く深く「パルナス」が息づいている。

 その魅力を深掘りしようと、朝日新聞関西スクエアは4月24日、大阪市の朝日新聞大阪本社でイベント
「パルナス再び プラス~今も愛され続けるわけ」を開いた。

 昨年12月に朝日新聞夕刊で「現場へ! パルナス再び」を連載した筆者(副島英樹)が進行役を務め、
「パルナス復刻委員会」を主宰する藤中健二さん(58)は、パルナス製菓にまつわる数々の貴重な資料や秘話を披露した。

 もう一人登壇したのが、作家の朱川(しゅかわ)湊人(みなと)さん(59)だ。
2005年に直木賞を受賞した小説集「花まんま」(文芸春秋)には、パルナスを題材にした作品「トカビの夜」がある。

 ホラーの薫りを漂わせつつ市井の温かな心象風景を描き、数々のロングセラーをもつ朱川さんはイベントで、
長年胸に温めてきたパルナスへの思いを語ってくれた。その珠玉の言葉を書き留めた。

マイナーコードが僕の中に
 もの悲しかった 62%

 味わい深かった 25%

 何となく怖かった 11%

 とくになし 2%

 今回のイベントへの参加応募者に向け、事前にアンケートをして聞いた「パルナスのCMに抱いた感想」だ。応募者の8割が50~60代だった。

 パルナス製菓は1960~80年代、関西テレビが日曜朝に放映したアニメ番組の冠スポンサーだった。
明るいアニメと一線を画した独特のトーンを帯びたパルナスのCMは、当時の子どもたちに強い記憶を刻んだ。

https://www.asahi.com/articles/ASQ594S6MQ58PLZU001.html