不適切受給の生活保護費、返済に「264年」 奈良市が不適切設定?
2022/8/5 12:24

 分割納付の期限は2272年まで――。生活保護費の不適切な受給分を返す必要がある住民に対し、奈良市が返済期間を264年間としていたことが、市の包括外部監査で判明した。監査人は「非現実的な納付(返済)期間」と批判し、「(住民に)完済する必要がないとの誤った認識を与える危険性がある」と指摘。納付計画の変更を市に求めている。

 2021年度分の包括外部監査結果報告書や市によると、市はこの住民と08年に分割返済の計画を作ったが、返済期限は2272年までの264年間とした。他の収入があるのに生活保護費を不適切に受給していた住民で、分割返済としたのは「資力など生活状況を考えてのこと」(担当課)という。市は不適切受給の期間や金額は明らかにしていない。

 市は17年10月に債権管理マニュアルを改訂し、「分割納付計画は原則3年以内とする」「時効期間を超える分割納付計画は策定しない」と定めた。市の担当課は今回判明した事案について、取材に「改訂前につくった計画」と弁明。だが、改訂後も計画の見直しはせずに外部監査を受けて「初めて分かった」とし、返済期間が長期となった理由は「よく分からない。他にはこれほど長い期間の人はいない」としている。

 返済期間が長期のため、この住民が滞納した場合は一部が時効となって返済されない可能性もある。監査人も「徴収権が消滅する恐れがある」と指摘している。

※略※

https://mainichi.jp/articles/20220805/k00/00m/040/112000c