通風から感染症まで「恐竜」の最強とは程遠い実態 骨から「病気」や「雌をめぐる闘いの痕跡」を発見

■ティラノサウルスも苦しんだ「ザ・肉食」こその病気とは? 

 全長13メートルの巨体。大きな顎による噛む力は、陸上動物として史上最強といわれています。
陸上生命の歴史全体を見渡しても、圧倒的な「強者」。それがティラノサウルスです。

 そんなティラノサウルスも、病気とは無縁ではありませんでした。

 たとえば、ティラノサウルスのある個体は、通風に悩まされていたことがわかっています。

 通風は、現代日本人でも、多くの人びとに発症している病気です。
おもに足の関節が腫れ、数日間にわたって激しい痛みに襲われます。
ティラノサウルスの骨にも、通風の痕跡が見つかっているのです。

 ヒトの場合、通風の原因は、高カロリーの食品や、赤身の肉を食べすぎたり、アルコールを飲みすぎたり、水分不足だったり、運動不足だったりとさまざまです。
恐竜時代にはアルコールはありませんが、そのほかの理由は、ティラノサウルスにもあてはまりそうです。

 また、ティラノサウルスやその近縁の仲間たちには、トリコモナスという感染症にかかったものもいたようです。
トリコモナス症と言われるこの病気にかかると、皮膚がただれ、骨に穴が開くこともあります。
食欲不振からはじまり、息をするのも苦しくなることもあるようです。現生の動物では、おもに鳥類にみられる病気です。

 この感染症は、トリコモナス症の動物肉を食べると感染します。
肉食の王者であるティラノサウルスにとって、宿命ともいえる病気だったのかもしれません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/aa8a5958d72c4958895dafa064f7470ac6507dc9