NHKの記者は政治家や役所に張り付いており、この業界で「当局」と呼ばれる公的な存在への取材に日々集中している。朝は「朝駆け」で取材先の家に行き、夜は「夜回り」で家の前で待つ。日中は担当する役所の動きを取材する。それがNHKの記者の姿だ。

 すると、どうなるか。旧統一教会のような「当局」ではない存在は必然的に取材対象にならない。瞬間的にそういう問題に興味を持つ記者はいても、長続きしない。内部で評価されないからだ。

 実はこれは以前から繰り返されてきたことだ。社会を震撼させたオウム真理教の事件の時、新人記者に毛が生えた程度だった私は、地方局から東京の社会部に吸い上げられ、オウム事件取材の最前線に身を置いた。そこで私が見たのは、民放のワイドショーを見てメモする先輩記者の姿だった。私の最初の仕事は大宅文庫に行って過去の雑誌の記事をコピーしてくることだった。それがNHKのオウム事件取材の実態だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f5720bb32eff22eb106b4951ed09958878305e6d