「稲川淳二」が夏の季語に? 「冷やし中華」や「マンゴー」も! 季語はいつ誰が決めるのか〈AERA〉(AERA dot.)
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(前略

ただ、個人名が季語に絡む例外もあるという。有名人の没後に命日(忌日)が季語になるケースだ。

例えば、俳人の松尾芭蕉が亡くなった旧暦10月12日は「芭蕉忌(ばしょうき)」「時雨忌(しぐれき)」などと呼ばれ、冬の季語として定着している。

7月24日に亡くなった作家の芥川龍之介の忌日は作品名などにちなんで「河童忌(かっぱき)」と呼ばれ、夏の季語だという。司馬遼太郎や太宰治の忌日も季語として使われている。

「忌日を季語として使った俳句は結構ありますが、よほど有名人でないと難しいでしょう。歴史的評価が定まらない人の忌日の場合、季語と組み合わせて有季定型(季語を入れた五七五の句)にします」(水野さん)

なぜ忌日は季語になり得るのか。

「その方に歴史的業績があるからでしょう。亡くなった日と紐づける発想は、その人を顕彰したい気持ちがあるからだと思います」(同)

一方、存命中の人の名前が季語になるのはまず無理、と水野さんは繰り返した。

「亡くなった人の歴史的な評価が確定してくると季語になり得ます。例えば、安倍晋三元首相が亡くなった日にちなんだ句を、仮に『晋三忌』として誰かが作ったとすれば、最初のうちは季語としては認知されないでしょう。その句にひっかけて、安倍さんが好きだった夏の花や食べ物を組み合わせた俳句を作れば、有季定型の悼む句になります。晋三忌といわれる俳句がたくさん出てくれば、いずれ夏の季語として認知されるかもしれません。それも亡くなってから、10年とか20年経たないとなかなか難しいでしょう」

安倍元首相ほどの有名人でも歴史的評価が定まり、忌日が季語になるには時間がかかるということのようだ。

(後略