中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行う中、台湾の最大野党・国民党の幹部が10日から中国訪問を始め、与党・民進党は厳しく非難しています。

中国への訪問を始めたのは国民党の夏立言副主席が率いる代表団です。

一行は今月27日までの日程で、福建省と広東省、それに上海などを訪れ、現地に住む台湾の企業関係者や学生らの意見を聞くということです。

夏副主席は出発前に空港で、「6月から計画を進めていた。中国の軍事演習は予想しなかった」としたうえで、「意思疎通は間違いなくよいことだ。われわれは目先の困難にひるまず、勇気をもって前に進むのみだ」と述べました。

台湾当局で対中国政策を担う大陸委員会は「国民党に訪問のとりやめを求めたが聞き入れられず、非常に遺憾だ。武力をもって統一に向けた話し合いを迫る中国のわなにはまってはならない」としています。

また与党・民進党は「タイミングを誤っており、立場が錯乱している。台湾内部の団結に影響し、国際社会の耳目を惑わす」と厳しく非難しています。

国民党は6月に朱立倫主席がアメリカを訪れ、「親米」をアピールしていて、夏副主席の訪中でバランスをとろうとしているという見方もあり、中国の高官との会談が行われるかどうか注目されます。
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